2021年10月2日土曜日

7月某日 渓流遭難のご報告

ご無沙汰しています、2.5ヶ月ほど療養生活過ごしてました
失敗談こそ共有して、他の人への警鐘とせよ、という事で
恥ずかしながら、自爆の遭難騒ぎをご報告させて頂きます

新型コロナの影響で遠征自粛modeの中
週末ごとに雨が降ったりでなかなか山に行けない時期も長く
梅雨明けの最初の日曜、満を持して仲間と岩魚釣りへ

私は今季初の草履初め、相方は3回ほど来ているそう
いつもの釣り場は、水力発電所の取水施設を越えて
さらに滝を2つ越えてから釣り本番となるルート

1.5時間ほど遡り、最後の滝を巻き上がって、降りようとした時に事が起こりました
ここの降り場にロープを設置していたのに、何者かが撤去してしまい
もう少し奥、その昔相方とお兄さんが設置したロープを使います

相方が先行する中、ふと脇に古い虎ロープが残ってるのに気が付いてしまいました
沢登りなら『残置ロープは信用するな!』が鉄則ですが
渓流釣りで警戒レベルが下がっていたのでしょう。。。
これを使って降りられそうだな? と手にしたのが運のツキ①

少し短いかもしれないと思った長さは、案の定少し足らず
このままぶら下がって身長で稼ぐか、右手に見えてるステップに移るか
右手のステップに移る判断をしたのが運のツキ②

右手に移るために虎ロープに荷重をかけた瞬間
ブツッという音と、目の前に握ったロープの切れ端を眺めながら
背中からフォールダウン。。。 あっと思う間に腰~背中に衝撃

本流ではなく支沢の浅い岩場に叩きつけられたので、水没の心配はなし
【コレはヤバイ】と思いながら、まずはうつ伏せに移行して息を整えます
腰~背骨にノーダメージってことは無さそうだけど、手足頭は大丈夫そうだ

詰まった息が戻ってから立ち上がってみる、足のほうはナントカなってそう
自分の足で下山が基本ですが、コレは動けなくなる可能性が大きいかも?
相方に「申し訳ないけど下山させてください」と申告、動けるうちに下降開始
(時間確認していないけれど凡そ9時)

なにせ渓流につき、ヘリの救助要請するにしても開けた場所が必要
となると、取水施設まで降るのが1stミッション、あわよくば車まで戻れればラッキー
下山開始するも足取りが重いこと。。。降ることは出来るけど右足が踏ん張れず登れない

そのうち気持ちも悪くなってくるわ、喉が異常に渇いてくるわ
交通事故で骨盤骨折で動脈損傷すると、大量出血に起因して水分を欲するようになり
水を呑むと一気に浸透圧の変化でショック死するなんて話を脳裏に浮かべながら
極力水も我慢しながら、途中で休憩挟みながらナントカ取水施設までは辿り着きました

が、ここで身動きがとうとう取れなくなってしまいました。。。
まだ携帯圏外、車止めは電波が通じるのが分かってるので、スマホを忘れたという相方に
私のスマホを託して、救助要請に先に降りてもらいました(凡そ11時)

さて、あとはヘリが飛んでくれるかどうか
天候的には青空だし無問題、樹林帯ではあるけどホイストできない程では無いだろう
ヘリの修理とかで出払っていないことを祈りつつ、救助を待ちます

沢水で濡れた体が風に吹かれて体温を奪うので、日は照ってるのにガタつきます
スマホを渡したのでどのくらい時間が経ってるかはわからず

内蔵までヤラれてたら助からないかもなぁ~ と悪い方に意識は傾きますね
寝転がって体に這い上がってくる蟻を眺めながら時が過ぎるのを待ちます

するとヘリの音が聞こえてきた
まずは下の発電所の空き地に降りたっぽい位の距離感
徐々に近づいてくるも、音だけで機体は見えず、通りすぎていきました

日差しを避けるために木陰にいたけど、コレだと見えないだろうと
空の開けてるところまで這いずって移動
しばらくすると近くの吊り橋のところにホバリングしてる機体を確認
もう少し上昇してくれればコチラも見えるはずなんだけどなぁ~

と思いながら手拭いを振り回して、ココにいるよサインを送り続けます
少し上昇してくれて、木々の隙間から機体を確認、向こうからも確認できた模様

ダウンウォッシュが凄いのなんの、落ち葉から小枝まで吹き飛ばしながら
隊員1名がホイストで少し離れたところに下降して、近づいてくれました

名前の確認、新型コロナ対策でマスクを渡され、ザックの外側のモノを中に
眼鏡もポケットの中身も飛ばされないようにザックの中に格納してもらい
ジャケット型の救命具に両手を通して股越しに固定
手は脇の穴を握りしめて、ホイスト開始
太陽がバックで眩しくて目が開けられないけれど
ロータの影を感じた所で、機内に格納して頂きました

パイロット以外に4人の救急隊員、あっという間に救急車の待つ草原に着陸
救急車が収容場所を確認してから移送開始、搬入先で救急のベッドに移送されました

困ったことに各所の連絡先等はすべて相方に渡したスマホの中。。。
スマホに電話かけても圏外だったり、出られなかったり(凡そ14時)
そうこうするうちにMRIの結果が出ました

「骨盤折れてるんで、別の病院に移送することになります」
そうか、やっぱり折れてましたか。。。 実は単なる打撲、この程度でへリを要請したな
と言われたらどうしようと思ってましたが、そうか骨盤骨折かぁ。。。

動脈損傷してればタダでは済まないし、神経イッてたら下肢不随の可能性もあり
想定する中では、まだ程度の軽い方で済んでよかったと心から思いました

しばらくして救急車で□□病院へと転送
気がかりなのは、相方と全く連絡がつかないこと
那須地域にいる共通の後輩経由で連絡をとれないものか?
タウンページで〇〇さんの電話番号を調べたいのですが、と看護師さんに言うと
△△歳の〇〇さん? → たぶんそうです → 看護師さん知ってました
関係各所の連絡は〇〇さんに託して、相方の携帯にも連絡いれてもらいます

17時過ぎにようやく相方と合流、あのあと消防&警察の救助隊と下から向かって
ヘリ救助のあと、消防→警察と事情聴取で解放されたのが15時過ぎだったみたい
私の車で病院に来てくれて、着替えとか荷物を渡してもらえました

今晩はとりあえず入院、大部屋に空きはなく差額ベッドへ
月曜に退院される方もいるから、移れるなら大部屋にってことで病室に移ると
担当医が来られて状況の説明を受けます

骨盤骨折だけど、仙骨骨折につき歩ける骨折です
ついでにもう一か所、第12胸椎に圧迫骨折が見つかりました
コチラは危ないけどコルセットすれば歩けます
  月曜の朝mtgで協議ですが退院可、あとはお近くの病院で治療相談を

高額ベッドの個室につき、トイレ&シャワー、流し&冷蔵庫、テレビも完備
まぁ寝返り打ちにくくて、熟睡とはいきませんが、朝ごはんもきっちり頂きました

朝mtgの結果は退院可、ただし車を運転しては不可
車は病院Pに置いたまま、TAXI→電車→TAXIで帰ってきました

紹介状渡されてなるべく早く地元の病院へ、ということで翌日に市民病院へ
ココで初めて、レントゲン画像も見せてもらって、こうなってたかと納得

仙骨はこのままくっつくの待つしかないけど、第12胸椎の方が厄介だと
骨粗しょう症のお年寄りならこのままだけど、若い人は気を付けないと
ということで装具購入、不意に前屈みになるのを防ぐ装具です

骨がつながるのが約2ケ月、まともに運動できるようになるのは+1ヶ月とのこと
1週間はお休み貰って、まずはテレワークから職場復帰です

椅子に座ってるのが1時間が限界の所から、徐々に慣らしていって
お盆明けから隔日の出勤で半日→1日と椅子に座れるようになり
2ヶ月経ってから、ようやく平地のお散歩開始
2.5ヶ月経って、高低差ありの軽めの山からリハビリ登山の再開です

**********(最後に)**********

★沢の鉄則:残置ロープは信用するな! 
を岩魚釣りだからと、勝手に警戒レベルを下げたのが全ての元凶です

県防災消防航空隊はじめ医療関係者の皆様には大変お世話になりました
この場をお借りしまして、あらためまして感謝申し上げます

2 件のコメント:

ラガーマンマン さんのコメント...

遅レスです。
ご無沙汰しております。

何気に覗いてみたら、「リハビリ」の文字?
で遡ると「遭難」の文字。

大変でしたね。でも大事に至らなくて良かったです。

別のところでも懐かしい名前の方が事故で亡くなったりしていましたね。

安全第一で楽しんでください。

fwix さんのコメント...

あらあら、ご無沙汰しています
我ながら、ヤッチマッタ~ とお恥ずかしい話ながら、無事に復帰できてよかったです